応募数3倍・問い合わせ数を8倍に高めたコーポレートサイトリニューアルの全貌

執筆者

  • 兼田 里佳子(かねたりかこ)

兼田 里佳子

新卒では、ネット広告やゲーム、投資など、幅広く事業を展開しているIT企業に入社。 営業・人事・広報などを経験し、最終的に最も長く経験を積んだのは広報でした。 Azitの広報まわりの相談を受けている際にオファーを頂き、得意なメディアリレーションを活かしながら 戦略的な広報や危機管理広報を実践していく場として、これ以上の環境はないと感じて入社しました。

はじめに

Azitは2019年の春にコーポレートサイトをリニューアルしました。

会社の顔とも言えるコーポレートサイトは、人事や広報の方が運用していることも多いと思います。 「いつかやりたいこと」に分類されて後回しにされがちなコーポレートサイトのリニューアルですが、Azitは早期に実施することで、タイトル通りの成果や、ブランドイメージの向上にも寄与しています。

本記事では、コーポレートサイトをリニューアルするにあたって重視したポイントや手順、その成果まで具体的にお伝えします。これからサイトリニューアルを検討される方にとって、参考となる記事となれば幸いです。

なぜ早期にコーポレートサイトのリニューアルが必要だったのか

スタートアップはとにかくリソースがありません。 コーポレートサイトのリニューアルに関わりそうな人事・広報・エンジニア・デザイナー・・・それぞれのメンバーの工数を考えると、サイトのリニューアルは「いつかやりたいこと」に分類されがちです。 また、内容によっては数百万円以上の費用も必要となります。

では何故そんなスタートアップのAzitが今、お金とリソースをかけてコーポレートサイトのリニューアルをする必要があったのか。

私たちがコーポレートサイトのリニューアルを行った理由は2つです。

  1. 6月までに正社員を50名にする という明確な目標があった。
  2. ローカルモビリティプロジェクトを開始したことで、サービス提供地域が増加しステークホルダーが劇的に増えた。

明確な採用目標があった

まず〈1〉に関しては、当時の社員数から考えるとかなり高い目標でした。 Azitの採用はほとんどの社員がリファラル採用ですが、候補者であれば1度はコーポレートサイトを確認すると思います。

事実、当社で入社後実施しているアンケートの中にある「どのようにしてAzitを調べましたか」という質問に対して、7割の社員がコーポレートサイトと回答しています。

今後もAzitの採用はリファラル採用を中心とするという方針は変わらないものの、これまでとは比にならない採用目標人数となっていたため、エージェントや採用媒体にもこれまで以上に注力する必要がありました。

様々なチャネルでAzitを知り興味を持ってくださる採用候補者の方々に対して、必要な情報を正しくわかりやすく伝えるサイトが必要でした。

ステークホルダーの劇的な増加

1年前は与論島のみだった地方でのCREW提供の事例が、今ではすでに3箇所で実施しています。 スタートアップ界隈や投資家の方々だけでなく、日本全国の自治体の方々、地域交通に関わる方々など、ステークホルダーが瞬く間に増えていきました。

いい感じにかっこよくて必要最低限の情報が載っているコーポレートサイト ではなく、CREWというサービスに対する「分かりやすさ」、そしてそれ以上に、Azitという会社に対する「信頼感」が伝わるサイトを制作する必要がありました。

何をやったのか

主に今回のリニューアルで行ったことは、時系列順に下記の3つです。

  • 経営陣の巻き込み
  • 目的の明確化
  • PM的な立ち回り

経営陣の巻き込み

「コーポレートサイトをリニューアルしたい」と社内で提案をしたところ、当初経営陣からは「そもそも今リニューアルする必要があるのか」という問を投げかけられました。 たしかに当時のコーポレートサイトも、きれいでシンプルなつくりのサイトではありました。 特にそれによって具体的にネガティブな事象が発生していたわけではありません。 しかし、今後の採用計画や事業戦略上、今のタイミングでリニューアルをしないとそれらの目標達成は難しく、議論を交わした上で予算を獲得しリニューアルの実施が決定しました。

目的の明確化

コーポレートサイトをリニューアルするために、目的を明確にすることはとても重要です。 それによりその後のデザインも全く異なるものになっていきます。

今回のリニューアルではもともと「分かりやすさ」と「信頼」という2つのキーワードを意識していましたが、コーポレートサイト・採用サイトそれぞれの目的を明確にするために、最も重要なターゲットをまずは選定しました。

その結果、コーポレートサイトに関しては「地方の交通課題に取り組む方々」向けにわかりやすさと信頼感を、採用サイトに関しては「Tech系人材」向けにCREWのカルチャーと未来への可能性を感じてもらえるようなサイトをつくることに決定しました。

実際にMTGの際には以下のような形で情報を整理して経営陣とすり合わせました。

情報整理の流れ

こうした段階を経て、次にデザイン会社の選定に入ります。 Azitでは複数社の話を聞いた上で、monopoさんにご依頼することになりました。

PM的な立ち回り

デザイン会社が確定したあとは、PMのような立ち回りでプロジェクトを推進していきます。 Azitのコーポレートサイトリニューアルにおける関係者は、主に下図の通りです。

  • 経営陣
  • 人事
  • デザイナー
  • エンジニア

経営陣

会社の顔になるサイトなので、デザインも含めすり合わせが必要ということで要所要所でコミュニケーションをとりました。

人事

リニューアルの目的のひとつが採用だったので、人事の巻き込みは必須です。 採用サイトのターゲットは人事と議論を交わした上で「Tech系人材」と決定しました。 全体のデザインはもちろん、社内制度の説明文なども、人事担当者にヒアリングをしつつ決定しました。

エンジニア

採用サイトのターゲットが「Tech系人材」と決まったので、エンジニアのメンバーにアンケートをとったり、直接課題感をヒアリングしたりしました。

【ヒアリングの一例】

  • どのようにしてAzitのことを調べましたか?

    • A:Google検索「Azit 株式会社」、GreenやWantedlyの記事は全部読みました。
  • 最終的に入社を意思決定する際、どうしてAzitが良いと思いましたか?

    • 自由度が高く、楽しくプロダクトを作っていけそうだと感じたから。
  • 友達にAzitを勧める場合、躊躇するところはどんなところですか?

    • カルチャーが合うかどうか。

デザイナー

サイトで利用するイラストについてのアドバイスなど、デザインそのものに対する意見をいただきました。

このように、デザイン会社と社内のメンバーの調整などを対応するPM的な立ち回りでサイトのリニューアルを進めていきます。

ポイント

今回のリニューアルのポイントは下記の3つです。

  • 全体としては「Azit」ではなく、「CREW」に寄せたデザインに
  • コーポレートサイトは「信頼感と安心感」を伝える
  • 採用サイトは「未来への可能性」を伝える

全体としては「Azit」ではなく、「CREW」に寄せたデザインに

Azitは、会社名とプロダクト名が異なる会社です。 ロゴのカラーやイメージも全く異なります。 そこでロゴの取り扱い方をどうするかという議論を初期に行いましたが、今回は CREWに全面的に寄せる という判断をしました。 CREWというサービス名が今後どんどん世の中に出ていく中で、赤と黄色のAzit要素がTOPに出てしまうと訪れた人が混乱し、結果的にわかりづらいコーポレートサイトとなってしまうためです。

コーポレートサイトは信頼感と安心感

コーポレートサイトの最大のターゲットは「地方の交通課題に取り組む方々」と定めました。

そこで、特にTOPページは企業としての信頼感を感じてもらえるように、熱さを語るよりかは少し無機質ながらも、最新情報やそれぞれの整理されたコンテンツへとアクセスのしやすい、INDEXのページの役割を果たすつくりとしました。

リニューアル後のTOPページ

また、地方の方に少しでも身近に感じていただけるように、メインビジュアルのすぐ下には、地方で撮影した写真(CREWのサービスを提供している与論島の上空の写真)を使用しています。

与論島の上空で撮影した写真

信頼感の醸成という目的で、新たにこれまで掲載していただいたメディアのロゴもトップページに掲載しました。

実際に掲載している企業のロゴ一覧

採用サイト

社内のエンジニアメンバーへのヒアリングの結果、人から得られる情報とサイトからの情報に差異が大きいという課題や、キラキラ感やイケてる感はAzitのカルチャーに合わないのでそのような見せ方はするべきではない という全体の方向性が定まりました。

そこで、派手なデザインにするのではなく、今持っている最低限の情報を整理し、丁寧に見せていきつつも、Tech系人材の方々を惹きつけられるような、未来への可能性を訴えるデザインとすることを重視しました。

メインビジュアルは、コーポレートサイトと差異をつけるためにも、写真ではなくイラストを使用しています。

採用サイトのTOPページ

また、エンジニアメンバーへのヒアリングシートのなかで「カルチャーフィットするのかどうか不安だった」という意見があったため、カルチャーを伝えられるようなコンテンツを作成しています。

私達のVALUE

私達のculture

逆に、採用サイトに掲載しないコンテンツも決めました。例えば下記のようなコンテンツです。

「社員インタビュー」 理由:Azit Worksが社員の価値観や考え方を知ることができる代替となっているため。また社員一人ひとりの考え方やストーリーについての情報はオンラインではなく直接オフィスに来ていただいて話したほうがより正確に、魅力的に伝えられるため。

「顔写真つきのメンバー紹介」 理由:Azitは今後もキャリア採用(中途採用)かつリファラルでの採用がメインなので、メンバーひとりひとりの写真や名前があることがそこまで大きなメリットにはならないため。またメインターゲットであるエンジニアやデザイナーなどのTech系人材は、顔写真を載せたくないという方も少なくないというヒアリングの結果も元に、入れない判断をしました。

成果

コーポレートサイトからの直接応募:約3倍

リニューアル前後の3ヶ月間で、コーポレートサイト経由の応募数を比較すると リニューアル後は3倍もの応募を頂きました。

これまで3ヶ月で獲得していた数字を、1ヶ月で超えるほどの効果改善があり、 現在もコーポレートサイト経由での応募は伸び続けています。 目的のひとつであった採用面で期待以上の効果を得ることができました。

地方自治体からの問い合わせ数:8倍

こちらも同じくリニューアルの前後3ヶ月の期間で比較すると、リニューアル後の全国各自治体からお問い合わせ数は、およそ8倍と急増しました。 実際にその中から年内に実証実験を開始出来そうな地域も複数存在しています。

さいごに

今回のリニューアルを通じて、これからコーポレートサイトのリニューアルを検討している方にお伝えしたいことは主に2つです。

1人でも多くの社員を巻き込んで声を聞くこと、ただし最終決定者は明確に

サイトリニューアルは広報や人事が担当することが多いプロジェクトですが、主観に頼らず、採用サイトであればエンジニアの声、デザインに迷ったらデザイナーの声、などなど、それぞれのコンテンツにとってキーとなる社員にはどんどん意見をもらったほうがいいと思います。ただし、特にデザイン面など正解がないものが多いため、それぞれにおいて最終決定者をはじめから明確にしておくことがとても重要です。

コーポレートサイトは会社の顔

結果の数値を見てもわかるように、コーポレートサイトは思っている以上にアクセスしていただけるものです。誰からの目線を大切にするか というターゲット設定はしつつも、関係する様々な立場の方の顔を思い浮かべながら意思決定をしていくことが、自信を持って見せられるサイト製作につながると思います。

時間もお金もかかるコーポレートサイトのリニューアル、なんとなくきちんとしたサイトだったら問題ないと後回しにしがちかもしれませんが、会社の顔として信頼感が得られるものにすることで、これほど大きな効果が得られます。

本記事を通して、実際にコーポレートサイトのリニューアルを行う方々のファーストアクションの参考となる記事になっていれば幸いです。 最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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