CREWの初回使用率を40%向上させたアプリストア改善の裏側

はじめに

私たちのようなアプリケーションサービスを提供している企業として欠かせないことの1つはユーザが必ず通る「玄関」であるアプリストアにおいて、いかに自社サービスをユーザにわかりやすく伝達するかということです。

本記事では、国内で前例のない「ドライブシェア領域」で事業を行なっている弊社がどのようにアプリストアでサービスをより多くの人々に理解していただき、結果として追求していたKPIの1つである「初回使用率」を改善したのかの裏側を書いていきたいと思います。

アプリストア改善前の状況

当時の弊社の状況はWBS(ワールドビジネスサテライト)にも取り上げられ、ほぼ同時に資金調達の記事も出た時期であったため、自社歴でいうと、世への露出は最高潮の時期でした。

それ故、「アプリのインストール数」は右肩上がりで伸びていました。 しかしながら、実態は母数のみが伸びているだけで、インプレッションからのページ閲覧率にはほとんど変化がありませんでした。

その中でも特に伸びが見られなかったのはメディアや記事などから流入してきてくれたオーガニック経由(自然流入)のユーザのインストールからの初回使用率でした。

一方で他の流入経路の1つであるリファラル(友達紹介経由)でインストールしてくれるユーザは初回使用率が高かったのです。 それはおそらく「招待者(友人)から説明を受けると理解ができる」ため、新規ユーザが使用までのイメージを持つことができ、結果として初回使用率が高いからではないかと考えました。

そこで私たちは「オーガニックで入ってきたユーザはサービスはインストールするが、ほとんどがCREWを理解することができないために使用まで至らないのではないか」という仮説を立てました。

そのため、「アプリストアで、まるで友人からの紹介を受けているかのように丁寧に情報を与える」ことができるアプリストアの設計を目指すことにしました。

上記を達成できればサービスの趣旨をより理解してくれる人が増え、結果として初回使用率も改善することができるのではと予想したためです。

それからはアプリストア改善のそのものの優先度を上げ、着手していく運びとなりました。

当時のストア状況

ユーザ目線で、どう感じるかをたしかめるために私たちはドッグフーディングを行ないました。 (ドッグフーディング:サービス提供者がサービスを自主的に体験すること。これによりユーザの感情に近づくことができる) ユーザ目線でアプリストアを体験することでユーザーがサービスを勘違いしてしまう情報設計になってしまっていることがわかりました。

当時のCREWのアプリストアは - 自分たちのサービスを勘違いさせるワードが散りばめられていた - サブタイトルの「電車・バス・タクシーと一緒に」によってユーザの混乱を招いていた - 「相乗り」が「必ず知らない人と乗らなければならない」という誤想起を起こしてしまっていた

  • ユーザがある程度の努力をしないと情報が揃わない
    • インストールすることで何が得られるのかがわからない
    • 画像が横並びでデフォルトの表示枚数が少ないために情報を得るためにはユーザーがスクロールする必要があった
    • 文字が小さいので視認性が悪く瞬時に情報を取得することができない
    • 情報の優先度がつけられていないため、目につくところに重要な情報がない

などと、ユーザに伝えるべき事柄の構成がバラバラに散りばめられていました。

改善前のストア画像 改善前のストア画像

ユーザヒアリングを通して仮説の立証と改善箇所の優先度を決めきる

課題を特定しなければ解決手段や課題解決のためのそもそもの仮説を生み出すことができないため、見えない敵に対してがむしゃらに銃を撃ち続けることになってしまいます。

そのため、実際のユーザがどこに課題を感じているのかを知るためにユーザヒアリングという形でアプリストア画面を触ってもらい、挙動を伺ったり意見を聞くことに時間を割きました。

するとヒアリング協力者の80%以上が以下3つの共通のことを回答していました。

  1. そもそも何のサービスなのかがわからない
  2. 「相乗り」という文言が「必ず誰か知らない人と乗らなければならない」と捕らえられ、不安を感じさせてしまう
  3. 一般のドライバーの車に乗ることが怖い。そのためわざわざCREWを使わない

私たちはこの3つを軸にアプリストアの設計をしていくべきだと捉えました。

上記3つの課題においてはある程度社内で仮説立てていたものの、いざユーザの生の声で聞けるとなると課題感や優先度が高まります。

改善を行う際に気をつけたこと

「課題を全部改善する!」ということを行うとユーザが情報肥満になってしまいかえってサービスの理解をするまでに疲れてしまう可能性があります。

それを防ぐためには、解決すべき課題ごとにどの情報をどの優先度でどこにどのくらい入れるべきかを考えること。 そして、文言やキーワード1つをとっても、実は1つ1つの言葉の性質は異なるため変更を加えるごとに自らがユーザ視点にたち「あの人だったらどう感じ取るだろう」「ユーザが何歳であの職業の人だったらこの文言はどう捉えられるだろうか」など、自分が憑依できる限りのユーザの思考を真似し改めて自分たちが作ったものを見直していくという工程を意識付けました。

改善反映後

改善したところは「ほぼ全て」なのですが、この記事では「画像の改善」の狙いについて中心に書いていこうかと思っています。

変更後 変更後のストアの画像

  • 1枚目の画像を「CREWとは一体何なのか」の説明にあてた

    • アプリのページに飛んだら1枚目〜2枚目の半分まで表示される中で最初に伝えるべき情報は「私たちたちは”こういう者”です」という自己紹介だと考えたため
    • 「相乗り」といった文言はユーザに誤解しか与えなかったため本来私たちが目指す姿を表している「スマート送迎アプリ」に変更
  • 安心感を持ってもらうために評価制度と審査制度をアピールした

    • ユーザからのドライバーへの不安が課題とあったため、運営がドライバーを審査していること、そしてユーザからもドライバーへの評価があるといった情報を提供することで安心&安全感を伝えた
  • CREWのトンマナに合わせつつ、クリーンな印象を意識した

    • ドライブシェアというまだ理解され難い事業では最初にもたれる印象が一番肝心になると考えたため

画像設計では他にも - 横表示から縦長表示5枚に変更した - 並びをユーザが悩んでいる事柄を解決する順序にした ことや、4,5枚目に何を入れるかの情報設計の優先度決めを行いました。

また、画像以外の箇所では、ヒアリングの最中にユーザが検索する際に”CREW”のスペルミスで検索に当てたりしていたこと、片仮名や平仮名で検索していることが多かったため表記揺れにも対応できるように仕込んだり、アプリ概要欄のユーザがクリックせずとも表示されている最初の3行に収まる文字数内で「CREWとは〜です。」を一言で明記するなどの細かな修正を「ユーザに適切な情報を努力なしで手に入れられる環境を作る」ことを命題にできるかぎりのことを行っていきました。

数値の変化

改善当初に狙っていたKPIであるインプレッションからの初回使用率を週次で切っていき、改善前の1週間と改善後の1週間を並べていくと結果的に改善後のインプレッションからの初回使用率が40%向上しました。

初回使用回数と率の変化

他の指標もなおのこと向上しました。初回使用率と同じくらい向上したのはインプレッションからのページ閲覧率でして、こちらは改善前と後の比較で41%の向上を記録することができました。

ページ閲覧数と率の変化

最後に

アプリストアはアプリを提供する際に必ずユーザが通る通路であるために、ユーザが通路を最短で通ることができるように、どんな情報をどこに設計してあげて、それを得るとどんな効用が得られるかを明示することが必須と考えます。

どんなにおいしいご飯屋さんでも、外から見た時にお店のシャッター常時覆ってしまっていたり、看板がなく「何を食べられるのか」がお客に伝わらなかったり、お店自体が裏路地に隠れている上、存在をアピールできていないなどとなっていたら本来来てくれるはずだったお客さんもご飯を食べに来てくれません。

それと同じように、たとえウェブサイトやプロダクトが満点だろうと、ユーザのお買い物先は必ずアプリストアですので、ここを磨いてあげることもお客さんを集めてサービスをまず使ってもらう上で重要なことなのではないでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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